(5)子どもたちが成長させるために必要なこととは?

子どもたちが成長し続けていける授業をつくるためには「良質」のインプットとアウトプットを繰り返ししていける場を保証することが大切になります。
教えてほしい(インプットしたい)時に「教えて」と言えること。
表現したい(アウトプットしたい)時に全力で取り組めること。
これらの二つが授業時間に保証された時、子どもたちはぐっと成長していきます。
教師としての力量はインプット・アウトプットをいかにつなげていけるかの差なのでしょう。
インプットとアウトプットのつながりが薄れると子どもたちの思考は止まります。
「わからないから質問をしたい」と思っても自分一人で考えることを要求されたり、「やってみたい!」と思っても終わる子がいるまで待たされたりする。
そんな「おあずけ」状態の中では子どもたちのやる気は徐々に低下していきます。
授業において「おあずけ」の時間を減らす。
それが良質のインプット・アウトプットを生み出すためには必要不可欠なのです。
「先生。めあては書いてもいいですか?」
「先生。式は書くんですか?」
「先生。色で書いてもいいですか?」
「先生。まとめは書くんですか?」…。
そのような問いが子どもたちの口から飛び交い続ける授業は、インプットとアウトプットがつながっていない状態なのです。
常に「おあずけ」状態の子どもたち。
教師の「よし」という言葉がないと動き出すことができなくなっているのです。
「おあずけ」状態の中で子どもたちが探るものはなんでしょうか。
それは課題に対する答えではありません。
彼らが探るのは「 目の前の教師が自分たちに求めている答えは何なのか?」ということなのです。
授業は子どもたちを成長させる場。
本当に探らせるべきものは、課題に対する答えでしょう。
どんなに教師の思考を探ってもそれは成長にはつながらないのです。
教師の思考を徹底的に読み続けた子ども。
課題に対して徹底的に向き合い続けた子ども。
成長するのは明らかに後者でしょう。
授業とは「おあずけ」「よし」の繰り返しの中で思考停止に陥る場ではなく、「全力で自分と向き合う」時間でありたいものです。
そんなことを考えると45分という授業時間をどのように使えばよいかが見えてきます。
思考が停止する時間を生み出してはいないか?
その時間をいかに減らしていくか?
そんな想いを胸に子どもたちの前に立ち続ける。
そんな教師だけが、「良質」のインプット・アウトプットを生み出せるのです。