「繰り返せる環境」が心の余裕を生む

子どもたちを伸ばしていくために必要なこと。
それは、「教師の心の余裕」です。
教師の心は、子どもたちに伝わります。
教師自身が何かにとらわれ、焦っている状況であれば、子どもたちもそれを感じ取りそわそわし始めます。
逆に、教師がドンと構え、心の余裕をもって子どもたちに語れば、それが子どもたちに伝わるでしょう。
教師の出す言葉にならない信号を子どもたちは日々受け止めながら前へ進んでいくのです。
そう考えると、「教師が心に余裕をもてているか否か」は子どもたちを成長に密接に関わっていくでしょう。



では、「心の余裕」とはどのように生み出していけばよいのでしょうか?
私は「何度も繰り返すことができる」ということが非常に大切なことだと考えています。
何度も繰り返すことができるということで、心には余裕が生まれます。
たとえ失敗したとしても
「今日できなくても、大丈夫。次こそできるようになるはず。」
と希望を胸に明日に向かうことができます。




繰り返すことができないということは、その余裕がなくなるということ。
何度も何度も繰り返す中でじわじわ伸ばしていくしかないものを、
たった一度のチャレンジで伸ばし、結果を出さなければならなくなります。




「たった一度のチャレンジで結果を出せ」といわれた時、教師がとりがちな行動。
それは3つあると思います。


?大声でどなり、しかりつけて、むりやり動かそうとする。
?教師が手を出して、結果を教師の色に染めてしまう。
?できるようになっていなくても、それを無視して通り過ぎる。


教師であれば誰もが陥ったことのあるジレンマではないでしょうか。
これらの坑道はすべて教師にも子どもにも「繰り返す余裕」がないことによって生まれるのです。


もし、何度も繰り返すだけの余裕があれば、教師が上の?〜?のような行動を取ることはなくなるでしょう。
そして、その代わりに


「チャンスは今日だけじゃないよ。明日もまたやろうぜ!」
「次こそきっと出来るようになるさ。また挑戦しようぜ!」
「この方法じゃうまくいかないってことが今回わかったね。じゃあ次は違う手でいってみよう!」
「何度も繰り返していく中で、力はついていくものなんだよ。」


このような言葉が増えていくでしょう。
このような言葉をかけることができる教師は間違いなく「心に余裕」があります。
それは必ず子どもたちに伝わります。
だからこそ、そういう教師に学ぶ子どもたちはゆっくり、じっくり、確実に伸びていくのです。



このように考えていくと、教師にとって大切な課題が生まれます。
それは
「いかに何度も繰り返していける状況をつくっていくか?」
ということです。
心に余裕を生むためには「繰り返し」が必要不可欠なのですから。



そのような命題を深く突き詰めていくことで生まれた学び方。
それが「インタラクティブカリキュラム」なのです。


インタラクティブ」とは「双方向」という意味です。
学んだことが他教科や同教科の違う単元において、何度も何度も往復していく。
その往復活動の繰り返しの中で、習熟をしていくというものです。


しかしながら「インタラクティブカリキュラム」をやれば子どもたちが伸びるというわけではありません。
結局子どもたちを伸ばすものは「カリキュラム」ではなく、その方法をとる「教師の在り方」なのですから。


インタラクティブカリキュラム」によって生まれた心の余裕をいかに子どもたちの成長に繋げていけるか?
と自問自答していくことが大切なのです。


「教育哲学」と「日々の教育実践」を繋げるということは、とても大変なことです。
しかし、一度繋がったものは容易には崩れません。
「心の余裕」をもつことができる。これが目指すべき場所。
インタラクティブカリキュラム」は手段であって、目的ではないのです。

そんなことをふと考えました。