変化のある繰り返し

TOSSは運動体として様々な疑問を持たれる方もいる。
しかし、授業や子どもたちの学びの原理原則を学ぶ上では大切な考え方をいくつも投げかけていると思う。



「変化のある繰り返し」
という言葉がある。
この言葉は一斉学習を行ううえでも、協同学習を行ううえでも大切な考え方であると感じる。



何度も何度も繰り返すことが子どもたちを伸ばしていくうえでは絶対不可欠なもの。
しかし、同じことを何度も何度も繰り返すだけでは、学びに飽きが生まれる。
同じことをさせるにしても、少し変化をつける。
ほんのわずかな変化でも、子どもたちは意欲をもって学び続けられる。
一斉指導における「変化のある繰り返し」は教師の力に大きく関わってくる。
どのような変化が適切か。スモールステップで難易度をあげていく。
それを看取る教師の力量が大きく影響する。
これは一朝一夕に身につく力ではない。



協同学習の魅力は、「変化のある繰り返し」を子どもたち自身が創り出せる点にある。
同じ教材を音読するとしても、一緒に学ぶ相手が変わればそれは「変化」と呼べるからだ。
教師が意図的に「変化のある繰り返し」を求めなくても、子どもたちが関わる相手が変化することを楽しみながら学ぶのだ。



無理なく持続して、積み重ねていける。



これが協同学習の魅力であるだろう。




しかし、だからといって手放しで協同学習をおすすめはできない。
ここには大きな落とし穴があるからだ。
気をつけなければならないことは2つある。



1つ目は、学びの質が下がりやすい。
ということ。
積極的に学んでいるが、中身は全然ともなっていなかった。
そういうことはよくあることだ。



協同学習は、子どもの姿は見えやすくなる。
しかし、子どもの学びは見えにくくなる。



これは協同学習を行ううえで、肝に銘じておかなければならないことだろう。




2つ目は、人と関わり学ぶことの価値をもてない子どもたちは動けない。ということ。
この人数が多ければ多いほど、協同での学びはごちゃごちゃしていく。
人と関わりながら学ぶことの価値を感じられない子どもたちにいかにして、その価値を刻んでいくか。
ここがとても難しい。今回1年生を担任して、その難しさを強く感じた。
「一緒に遊ぶ」という感覚はあるが、「一緒に学ぶ」という感覚はない。
学ぶことの価値にしっかりと気づかせてあげなければ、学び合いで定番の「さあ、どうぞ」で学ぶことなどできないのだ。



これは小学校1年生に限ったことではない。
何歳であろうと、初めて他者と学び合う学習をする時には、誰もが戸惑いを見せるはずだ。



自由に交流させると学びにロスが生まれる。
かといって、教師の手のひらに乗せ続けることが子どもたちを伸ばすとは思えない。
この半年間、この矛盾を抱えながら、こどもたちと向き合ってきた。



しかし、ようやく長いトンネルから抜け出しつつある。
この2つの問題点を、払拭する手がかりをある方との会話でつかんだ。
久しぶりにわくわくしている。
あとはその手がかりをもとに、実践を重ねていくだけだ。


「変化のある繰り返し」
これがキーワードだ。