1年間を振り返る
12月27日の火曜日が終業式だった。
1年の終わりということで前日の月曜日に「一年の振り返り」というテーマで子ども達に作文を書かせた。
提出された作文を見て感じる。
「う〜ん。なんか違う…。」
数人の作文を読み進めてみてわかった。
「ゴール」が浅い。
子ども達の文章を書く「ゴール」が「一年間を振り返ること」になってしまっているのだ。
「3月に大震災があった。」「4月に学校が始まった」「8月に…」
これでは思い出作文。
書いてもなんの意味も無い。
…ということで
終業式当日。一時間目にリベンジ!
まずはこれを書く目的を語る。
「みんながこれを書くゴールは『一年を振り返ること』?」
皆首を振る。
「じゃあ、みんなのゴールって何?」
子ども達は答える。
「振り返ることで、自分の良い所・悪い所を見つめ直すこと。」
「振り返ることで、それを来年に生かしていくこと。」
「生かすことで、自分の夢を叶えること…」
その通り。「振り返ること」はゴールではない。
「ゴール」はもっともっと高い所にあるのだ。
終業式開始まで残り30分。
話し合い15分、書く時間15分の強行突破。
しかし、子ども達は皆500〜800字ほど書ききった。
放課後読んだ。胸にズンときた。
「ゴールというのは目的地を決めて、またそこからの目的地を決めて…のくり返しなのかもしれない。ゴールを決めたってそのゴールには一気にはたどり着けない。目的・目標を積み重ねていくことによって、もっと良いゴールが生まれていく。未来にすぐに行く事はできない。だからこそ、そのゆったりとした時間を大切に使っていきたいと思う。…」
「『将来人を笑顔にして、人の役に立つ職につくこと』これが私の夢。震災で被災地になった福島県。その中で勉強している私達。今の生活は他の人達から見ると不便そうですが、私はそんな中で今までずっとなかった将来の夢が出来たのです。そんな意味を含めて今年は特別な一年だったのです。…」
「3・11の大震災。それでも私のゴールが揺るがなかったのは仲間がいたからです。家族がいたからです。そして、自分がいたからです。今の私はゴールに向かって歩んでいます。それはたくさんの人のおかげです。私のゴールは医療現場で生命に関わる仕事につき、困っている人、自分が助けられる人を助けていくこと。…」
「『〇〇で学べ。』よく先生が言うことだ。私は『震災で学ぶ』ことができた。自分の夢を考え直すことができてとても良かった。…」
「『皆から尊敬されるような看護学校の先生になる』これが私の目指すゴールだ。ゴールに向かうことは口で言うほど簡単ではない。しかし、ゴールに向かおうとすればするほど自分は伸びるのだろう。今年一年ゴールに向かおうとしていた私がいただろうか?…」
どの子の文章も「魂」がこもっている。
いい文章だ。
「過去」ではなく「未来」を見据えた「振り返り」
「目的」は文章までもガラッと変えてしまった。
この子ども達。まだまだ伸びる。
残り3ヶ月か。