「子ども達がいつも同じ人としか関わろうととしないのです…」?

「なぜ仲良しな人だけと学び合っていてはだめなのか?」

私はこの答えに関するキーワードは2つあると考える。
それは「似ている」と「不安」というもの。
昨日の記事では「似ている」というキーワードをもとに、子ども達になんと語るべきかを考えた。

今回は「不安」というキーワードをもとに考えていきたい。
「なぜ仲良しな人だけと学び合っていてはだめなのか?」
これを語るためには


「子ども達がなぜ仲良しな人と固まることを望むのか?」


ということについてしっかり考えていかねばならない。


「子ども達はなぜ仲良しな人と固まることを望むのか?」
こう聞かれたらどのように答えるだろうか。
以前の私はこのように思っていた。


「仲良しな人と一緒にいるのが居心地がいいから。」と。


しかし、最近子ども達の会話を聞いていてそれだけではないことがわかってきた。
子ども達が良い「学び合い」と崩れた「学び合い」について話し合う機会があった。子ども達の会話。



「学び合いがうまくいっている時ってどういう時なのかな?」
「みんながチームになっている時かな?」
「うんうん。そうだね。仲良しの人ばっかりで話しているといい勉強はできないもんね。」
「でもさ。仲良しの人ばかりで固まっちゃうのってさ、どうすればいいのかな?」
「もう一回目的を確認すればいいんじゃない?」
「でもさ。確認しても動けない時ってない?」
「あ〜。わかるかもしれない。」
「なんか本当に話を聞いてもらえるか、不安になるよね。」
「勇気出して行って受け入れてもらえるかも不安だし。だめだった時戻れる場所があるかも不安」
「あ〜。あるある。」……



会話に耳を傾けていてハッとした。
「子ども達が仲良しの人と固まるのはなぜか?」
その答えは「居心地がいいから」ではないのかもしれない。



それに気づいた時に浮かび上がってきたキーワード。
それが「不安」だ。


「多様な人と繋がる価値観」は子ども達の心に刻まれている。
しかし、子ども達は仲良しの人同士で固まる。
これは「動かない」のではなく「動けない」のだ。
子ども達は動きたいと思っている。
多様な人と関わっていかねばならないと感じている。
しかし、それができない。
それは「不安」だから。飛び出すことに対する不安。
戻る場所を失うかもしれない不安。


それが理解できれば教師のすべきことは見えてくる。
教師のすべきことは何か?


「なぜ仲良しの人で固まる?しっかりやれ!!」
と叱責することではないだろう。


教師の役割は誰もが感じているこの不安を見えるようにしてあげること。
そしてその不安を共有化してあげること。



「どうして仲良しの人だけで固まっちゃうのかわかる?それはね。みんな不安だからだよ。」



このように語ることでみんなが不安をもっていることを共有する。
そして仲良しの人と一緒にいることに対する価値観を逆転させてやる。
いつも仲良しの人といることと自分の不安な気持ちとをリンクさせてあげる。
すると他のグループの人達が抱えている不安も見えてくる。


そして特定の人と群れず、常にいろいろな人と関わろうとしている人の本当の強さも見えてくる。
そこで語る。



「誰でも不安。それは当たり前。だからこそ上を目指そう。誰も不安になることのないクラスをつくっていこう。誰もが安心して繋がっていけるクラスをつくろう」



子ども達は変わり始める。
不安を乗り越えて自分と繋がろうとしてくれた友達を尊敬できるようになる。
そしてそれを見て自分の不安を打ち破ろうとする。
その連鎖がクラスを動かし始める。…


教師はしっかり感じ取れなければならない。
子ども達が「動かない」のか。それとも「動けない」のか。


「動かない」なら語らねばならない。
「動けない」ならその原因を取り除いてやらねばならない。


それが教師の力。
「語る」「かた(ちづく)る」こと。