なぜ叱るの?

「まったく…面倒なことして…」



子ども達が何か悪いことをした時、我々はそんな風に思いがちです。



確かにトラブルはないに越したことがないでしょう。
しかし、人が集まれば問題が起きるのはある意味当然のことなのです。
必然的に起きる学級内のトラブルを我々がどうとらえるか?
そこに子ども達を育てるヒントがあります。


トラブルが起きた時。
それは子ども達を育てるチャンスです。


「そんなのキレイゴトだよね。」
「自分を勇気づけるための慰めの言葉だよね。」




なんていう人もいるかもしれません。
そうですよね。私もはじめはそう思っていました。
しかし、実はそうではないのです。
ちょっと見方を変えて子ども達のことを見つめる。
そうすれば誰もがこの境地に辿り着くことができます。



「??具体的に考え方を変えるってどういうこと??」




見方を変えるためには我々が立ち止まって考えるべきこと。
それは「なぜ子ども達を叱るのか?」ということです。



悪いことをしたから
善悪をきちんとわからせたいから
きちんとした大人に育てたいから…




我々が叱る理由はたくさんあります。
どれもまちがいではないでしょう。
しかし、この理由では子ども達を叱っても一方通行でしょう。
我々が熱く叱れば叱るほど子ども達の表情は強張ります。
自分はダメなやつ
なんて思い込んでしまうかもしれません。




私の叱る理由はただ一つです。




「彼(彼女)らしくないことをしているから」




本当の彼(彼女)ではない。
悪いことをしたことが悪いのではなくて
彼らにふさわしくない行動をしていることが悪いのです。



私の目にはいい表情をしている時の子ども達が「彼ら自身」です。
だからいいことをした時は本気でほめます。




「そうだよな!その顔だよな!」
「いい顔してるな!」
「そう!それが君のよさ!君らしさだよな!」
「その顔を覚えておこうな!その顔でいる限り、君は絶対伸びていけるはず!」
「その顔でいる君を俺は応援する!」




それによって私の頭の中にその子のよい所が「その子らしさ」として刻まれるのです。
もちろんその子の中にも。




そのように私が「その子らしさ」を感じ、
その子が「自分らしさ」を感じる。
そこで初めて教師の言葉は子ども達の心に届くのです。




お互いに「自分らしさ 」を共有しているからこそ本気で叱れます。
そして本気で励ませます。
「そんなのお前はじゃないだろ!」と。




「君らしくない」
この言葉だけでは、子ども達は育ちません。
この言葉だけをつぶやき続けても子ども達は易きに流れます。
そして、強く言いすぎるとプレッシャーになります。




大切なのはこの言葉をかけることではないのです。
この言葉をかけることで
親、教師自身がその子をどう見ているのかを振り返ることなのです。





我々は常に子ども達の「応援団」であるべきです。
褒める、叱る、励ます
この三つはすべて繋がっています。




このパーツが一つになった時、
子ども達は「彼ららしさ」を胸に歩み続けられる大人になるはずです。