視点の違い

最近考えること。
それは「子どもたちと、私たち大人では身につけるべき能力が違う」ということ。
何となく気づいていたが、体感としてストンと落ちたのはここ最近のことだ。

当然のことながら子どもたちは生きてきた経験が短い。だからこそ未来に思い煩わされることなく、常に「今」を感じながら生きることができる。
しかし「未来」という概念が薄いために、先に起こることについての認識が甘くなる。

それに対して大人は生きてきた経験がある。だからこそ「未来」を視野に入れて行動できる。しかし、それは逆に「未来」に縛られることも意味する。経験があるゆえに起こるべき「未来」を恐れ、一歩踏み出すことが出来なくなることがある。

子どもたちは常に「今、現在」を生きている。
これは大人にとってはとても難しいことなのだ。
しかし、逆に子どもたちは大人の「未来」を視野に入れた行動に憧れる。
成長するにつれて得るものがある一方で、失っていくものがあるのだ。

そのように考えると、子どもと大人では身につけるべき力が違うことに気づき始める。
子どもたちに必要なのは「遠く」を見る視点。
「今」よりも遠くにある「未来」
「自分」という存在を通り抜けた「他者」
現在の自分からひたすら離れ、遠くへ視点を移していくための語りが必要なのだ。

大人はそれとは逆になる。
遠くを見ることをやめ、近くにあるものに目を向ける視点を養うことが大切なのだ。
「未来」ではなく「今」
「遠く」ではなく「ここ」
「手にしていないもの」ではなく「手にしているもの」
「他者とのつながり」ではなく「自分とのつながり」

大人に語ることを子どもたちにそのまま語っても意味は薄い。
そんなことに気づき始める。
だって、子どもたちは常に「今」を生きているから。
そして大人よりも「幸せの感度」が高いから。

子どもたちには「敏感」になることを求める。
大人には「鈍感」になることを求める。
「敏感」になることで「経験」が積み重なる。
「鈍感」になることで「経験」に押し潰されない。

語るべき視点が違う。
そんな当たり前のことを再確認できた一年だった。
来年度、子どもたちに語る言葉が定まり始めている。
そんな感覚を得ることができた年度末だ。