押し上げる・引っ張り上げる

最近感じていること。
それはこの世には「押し上げる教師」と「引っ張り上げる教師」という二通りがあるということ。

「押し上げる教師」はとことん子どもたちに寄り添う。懸命に抱きかかえ、一歩上の階段を這い上がらせる。何をすればこの段差を乗り越えることができるか?それにとことん向き合い、子どもたちを一段一段押し上げていく。

「引っぱりあげる教師」は段の上で待つ。そして、子どもたちが一歩上の段階へ上りたいと手を伸ばし、挑戦し始めたとき、手を握る。そしてひっぱりあげる。
どちらが優れているというわけではない。「押し上げる教師」の良い所は子どもとの距離が常に近いこと。それによる安心感が子どもたちを成長させていく。しかし、自ら手を伸ばし、段差を上ろうとしない子の場合、教師の負担は大きくなる。どんなに押し上げても最終的によじ上るのは子どもたちだから。

「引っぱりあげる教師」は段の上にいる。だからこそ「あそこにいけば良い」という目標が明確だ。学び手が「どうすれば手が届くか?」を真剣に考え始める。自ら手を伸ばし伸びようとした時、必ずそこに支えてくれる教師がいる。

しかし、「押し上げる教師」と悩みは同じ。自ら手を伸ばそうとせずにしゃがみ込む子を、教師は引っぱりあげることはできないのだ。

「押し上げる教師」「引っ張り上げる教師」
タイプは分かれるが、結局は「子どもたち自身が手を伸ばす意志」をいかに耕していくかが重要なのだ。どんなに「上り方(やり方)」を教えても最終的にそれをもとに子どもたちが学び続ける意志(手を伸ばす意志)をもたなければ成長は生まれない。

大切なのは自分がどちらのタイプなのかを理解することなのだろう。
一人の教師が同時に「押し上げながら、引き上げること」はできない。
自分ができないことを補ってくれる人が近くにいること。
そしてお互いに多様性を認め合い、お互いに学びを得ることなのだろう。
そんなことを感じる今日この頃。