学び続けていける授業とは?〜?ゆるくつながる〜

20、学び続けていける授業とは?

「学び続けていける授業」
これを創っていくために必要なことはなんなのか?
子どもたちが学ぶ環境をどのように変えていけば、子どもたちは安心して学び続けていけるのか?
B先生と私は対話を通して深めていきました。

対話を繰り返すうちに「学び続けていける教室づくり」に必要なことが3つ浮かび上がってきたのです。
それは
?ゆるくつながっていること
?何度も学び直せること
?「わかったつもり」が可視化されること
ということです。

21、ゆるいつながり

?ゆるくつながっていること
「みんなができる」
という言葉は子どもたちをきつくつなげます。
K君をみんなが善意で取り囲んだように「全員」を目指して子どもたちは突き進みます。
しかし、「全員ができる」に連戦連勝はないのです。
「国語」でも「算数」でも「理科」でも「社会」でも…。
すべての教科で「全員が」を達成できるわけがありません。
しかも毎日です。

これを達成するためには「全員が」の質を下げざるを得なくなります。
課題のレベルを下げ、「全員ができる」という経験を感じさせていくことになるのです。
しかし、質の下がった「全員」を達成した所でクラスの成長はありません。
仮に質を下げないでごり押しすると子ども達はどうなるでしょうか?
それが先ほどのK君を取り囲んだ状況を生み出します。

上位の子ども達はわからない子に教えこもうとし始める。
下位の子ども達は教え込まれ、顔がくもり始める。
中位の子ども達は学びからあぶれ始める。

それが毎時間続く。それが毎日続く。これに成長はありません。
確かに「みんなができる」という言葉はバラバラだった子どもたちの心をギュッとつなげていくことに非常に有効です。しかし、それにストレスを感じ学びを放棄する子もいるのです。

では「みんなができる」という言葉できつくつなげることなく、子どもたちが学びを進めていくにはどうすればよいか?
そこで見えてきた方法が「ゆるくつなげる」ということです。
ではゆるくつながっている状態とはどんな状態なのでしょうか?
それはすべてのこどもたちの「心が開いている」状態のことです。

心が開いている状態とはどんな状態かなのか?
それは、
わからないことがある時「わからないんだ。教えて。」と言えること。
そして
誰もが「何かあったら言ってね。全力で助けるよ。」と言えること
です。
協同で学ぶことは大切なことです。
子どもたちにはいつも繋がり合って学ぶことの大切さを語ってきました。
しかし、勉強をしている時、こどもたちには「教えにいくな」と言うのです。
これは一見矛盾することのように思えるかもしれません。
しかし、ここがクラス創りの中でもっとも大切なことなのです。

学びの共同体の提唱者、佐藤学氏は「教え合い」と「学び合い」の違いを述べています。
「教えてあげようか」から始まるのが「教え合い」
「わからないんだ。教えて。」から始まるのが「学び合い」
「教え合い」の中で育った子は誰かに助けてもらうのを「待つ」子になる。
そして、「待つ」子はずっと待ち続ける中で、最後にはなぜ助けてくれないんだと「恨む」子に変わるのだと。

みんなで協力しろ。
全員ができるようにしろ。

そのようにきつい繋がりを求め続けると学習が苦手な子が黙りこくり始めます。
本当に大切なのは苦手意識を感じている子が自らの意志で「教えて」と言えることなのです。

常に助けを求められる状態。
常に助けに応じられる状態。
これが「心が開いた」状態です。
一見誰もが学び合っていないように見えても、心はしっかりとつながっている。
そんな「ゆるいつながり」こそが「学び続けられる教室」には大切なのです。