みんな「問題児」

出会いの一日。ある子が言った。


「先生。あの子問題児なんだよ。」
これはクラスにとってすごく大切なことだ。
即座に全体に問いかける。


「ねぇ。みんな。問題って何?」


「問題」って何だ?
どこからどこまでが「問題」でどこからが「問題」じゃないんだ?
許せない行為が「問題」というならば、「許せる」「許せない」の境界ってどこなのかな?


違う子がつぶやく。
「問題児なんていないよ…。」

その声をとりあげて再び問う。


「◯◯は問題児なんだよ」って言われたら先生はなんて答えると思う?
子ども達は答える。


「『へぇ。』って言うと思う。」
「『そんなことないよ』って言うと思う。」


そこで私は笑って子ども達に言う。
「ちょっと違うな」



「『〇〇は問題児なんだよ』って言われたら先生はこう言うよ。『そうだね。その通り。問題児だよね。』って」


子ども達はきょとんとした顔になる。
そこで続ける。
「◯◯は問題児だ。でもそれと同じぐらい俺も、君も問題児だ」


人間だれもが苦手なことを抱えている。
完璧な人なんていない。
苦手なことがある者を「問題児」というのならば、誰もが「問題児」なんじゃないか?

「問題児」か否か。
そんな線引きはない。
誰もが胸に「問題」を抱えている。みんな「問題児」。
この子も。あの子も。そして自分も。
そう思えるからこそ相手に優しくなれる。


「問題」をあぶり出し、責めたてることで最高のクラスが創れるか?
そんなクラスに魅力はない。
誰もが心に「問題」を抱えている。
大切なのは誰もがその弱さをさらけ出せる。そんな雰囲気だろ?
抱えている「問題」に少し違いがあるだけ。
弱さもさらけ出し、それを強さに変える。
そんなクラスを創ろうぜ。…


そんな話をした。
誰もが学び続けられる環境を創り出す。
そのために日々語る。
語るべきことは山ほどある。
ありがたい。彼らと共に自分も成長をしていく。