大人達がすべきこと

学級通信152号より



「夢」「志」が定まれば子ども達は自らの意志で学び始めます。
しかし、子ども達のなかには「夢」「志」を決定しても
なかなか動き出せない子もいます。
そういう子は怠け者なのでしょうか?自己管理能力が低いのでしょうか?



いいえ。そういうわけではありません。
そういう子ども達はただ
「夢」「志」が自分のものになっていないだけなのです。



確かに「夢」は決めた。
でもその「夢」「志」を叶えるために自分が今何をすべきなのか?



それが今ひとつ掴みきれていないのです。
そんな子ども達に「勉強しろ」「しっかりやれ」 などといっても意味がない。
形だけやったフリをするだけ。意識は勉強から逃げ続けます。



「スポーツ選手になって多くの人に感動を与えたい」
という夢をもった子がいるとします。
子どもにとって未来は想像すらできないものです。
その夢を叶えるために大切ことは
「懸命に練習すること」ぐらいしか思いつかないでしょう。
その子の頭の中では「自分の夢」と「学校の学習」が直結していません。
自分の夢に直結していない事に人が本気になれるはずはないのです。



我々大人達の役割。


それは
「直結していないこの2つを繋げてあげること」だと思います。


学校で学んでいることと子どもの夢。これらを繋げ。
今自分がすべきことをとことん考えさせてあげなければなりません。



あの人のようになりたい。そんな人がいるということは素晴らしいことです。
北島康介選手のようになりたい。」
そういうならば北島康介選手がどんな道筋で栄光をつかんだのかとことん見せてあげればいい。
どこの高校を出たのか?どこの大学を出たのか?
どのぐらいの学力があればそこに入れるのか?受験科目はなんなのか?


そこに辿り着くには、
小学校卒業までにどんな自分になっていなければならないのか?



将来お店を経営したいという夢ならば?
お店をもつために必要なことを子どもにすべて見せてあげればいい。
どんな能力が必要なのか?どのぐらいのお金が必要なのか?
どんな道筋を辿れば夢に辿り着けるのか?



そこに辿り着くには、
小学校卒業までにどんな自分になっていなければならないのか?


自分の夢と学校での学びが繋がった瞬間、子ども達の目つきは変わります。
本気になれないならば、まだまだ考えさせてあげなければならないということ。
根気強く種をまき続けるしかありません。



我々大人達の役割は決して子ども達のお尻を叩くことではありません。


「夢へ続く道筋を見せてあげること」(レールを敷くことではありません)
「夢に近づける行動をしているかを問い続けること」


この2点です。



夢に繋がらない生活をしている時は再度考えさせるチャンスです。
私はこう言います。


「夢も定まっている。それを叶える力もある。それなのにこんな生活をしている。君らしくないぞ。」


「お前はだめだ」「絶対夢は叶わない」という否定的な言葉は
決してかけません。
大切なのはこんな自分は「自分らしくない」と思えるようにすることです。
夢をおろそかにしている自分を心から「自分らしくない」と思えた時、
子ども達は大人抜きでも自ら学び続けていくでしょう。


学校では常に「夢」「志」を語っています。
日々自分の未来を想像し、それを掴むために何をすべきか共に考えています。
ご家庭でもぜひ共に考える場をつくってください。
子ども達が、自分自身の言葉で「夢」「志」を語れるようになった時、
彼らはほぼ夢を掴みかけています。



「まだ小学生なのに…。」ではありません。
この感覚を掴むのは早ければ早いほどいいのです。
たとえこれから夢が変わってもいいのです。
「志」を定め、まっすぐに歩み続ける感覚は決して無駄にはなりません。
共に子ども達の心に種をまいていきましょう。