「話す」と「語る」

学級通信150号より


帰りの会の振り返りペアトーク。 
皆懸命に話し合っているように見える。
しかし、よく見ると様々な表情が混じり合っている。 

 

すごく楽しそうに話し合うペア。
なんか盛り上がりにかけるペア。 
心から自分達を振り返っているペア。
ただ何となく時間を過ごしているペア。

 
ふとよぎる疑問。


「生き生きと話し合うペアとそうではないペアの違いってなんだろう?」

 
学校の帰り道。ふと答えが浮かんだ。
彼らの決定的な違い。それは……。


「話す」と「語る」の違いではないか?

 

昔何かの本で読んだことがある。


「話す」とは「放つ」こと。
口から言葉が放たれることが「話す」こと。
どんな言葉も口から放たれれば「話している 」こと。

 

では「語る」とは?

「語る」とは「象る」「かたちづくる」こと。
誰もがわかるように形にして伝えること。

 

なるほど。「話す」ことはできても「語る」ことは難しい。
再びペアトークを思い起こす。


「生き生きとしたペアとそうではないペアの違いは?」


生き生きとした話し合いをしているペアはきっと「語り」あっているのだろう。
自分の目標。うまくいっていること、うまくいかないこと……。
自分の思いを形にして、相手に伝えている。
それが見えるからファシリテーターも心地よく会話を紡ぐことができる。
うまくいかないペアは文字通り言葉を「放っ」ているだけ。
形が見えないから会話は単調になる。すぐ話が尽きる。 

 

「しっかり話せ」
「そんな話し合いでいいのか」


なんていう言葉かけから 


「君たちのペアは話し合い?語り合い? 」
「夢を語り合える学級を創ろうぜ」


そんな言葉かけへ。

 

「話す」から「語る」へ。
それを「語り合い」へ。
そしてそれを「語り合い続ける」へ。



もっともっと上へ。さらにさらに高く。
子ども達はそこまで辿り着く力をもっている。