「よい」「わるい」を超えて

学級通信124号より↓↓


「成績が下がって、すごく不安です…」
という話を耳にしました。成績ってすごく気になりますよね。私も学生時代はそうでした。
しかし、今はその考え方が180度変わりました。それはなぜ!?
…ということで。今回は成績のことについて書かせていたただきます。



私が中学校から小学校へきてすごく考えさせられたこと。
それは成績表に対する考え方です。
中学校の成績は受験に直結します。


「中学校1年生からの成績が高校入試にすべて関わってくる」


なんて話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
高校入試では1学年〜3学年までのトータルの成績の合計が点数となって
高校側へ提示されます。(点数の出し方があるのですが、それはまたの機会に)
…ということは、中学では入学した瞬間から受験が始まっているのです。
(そう考えるとキツイですね…)
中学校では小学校のように1人の先生がすべての教科を教えません。
各教科教えてくれる先生が変わります。
そのため、成績もシビアにつけられる傾向がありますね。
子ども達は、小学校よりもさらに高い適応能力を求められることになります。



その点、小学校の成績は受験に直結しません!
福島県には「お受験」がありませんもの)
受験に直結しない小学校の時期にできること。しなければならないこと。それは…


「自分が何が不得意なのか、何を伸ばしていかないかじっくり考えること」です!


小学校で失敗しても、受験に直結するわけではないのですごくダメージが少ない。
小学校の時期にどれだけ考えたかが未来へとつながっていきます。



ちなみに、「中学校で失敗できないか?」というとそうではありません。
成績が大きく影響するのは?期入試(推薦入試)だからです。
?期入試(テストを受ける入試)も少しは影響しますが、?期入試ほどではありません。



じゃあ、?期入試(推薦入試)を受けたいと思っている人は、成績さえよければいいの?
と思われるかもしれません。しかし答えは「NO!」です。
次の表は、福島県教育庁学習指導課がホームページにアップしている
各高校の選抜要項です。
全部の高校を載せることはできませんので、
「郡山高校」と「郡山商業高校」の2つを載せました。
他の高校に興味がある方はぜひ検索してみてください。
見方がわからない時は、相談にのらせてください。



【郡山高校】

普通科では、大学進学に必要な高い学力の定着をはかることにより、
生徒一人ひとりの進路希望の実現をめざしている。
大学への進学を希望し、以下のAまたはBのいずれかに該当する生徒を求める。


A:主体的に学習することができ各教科の成績が極めて優秀であり、
  学習面と生活面でリーダーシップを発揮できる生徒


B:運動部における部活動の顕著な実績又は優れた資質を持つ者で、
  リーダーシップを発揮しながら3年間積極的な活動ができ、
  学習に対しても根気強く努力できる生徒(ただし、募集要項で指定する部活動に限る)


【郡山商業高校】


(国際経済科)
○ 国内外の社会情勢や文化に興味を持ち、活きた語学力を習得し、
 柔軟な思考力と豊かなコミュニケーション能力を身につけ、
 誠実に前向きな気持ちで取り組む意欲のある者。

(流通経済科)
○ 商品の販売やサービスに関する知識・技術の基礎を学び、
 インターンシップ(就業体験)を通して、
 社会人として必要な接客マナーやコミュニケーション能力を身につけたい者。

(会計科)
○ 簿記会計の高度な知識と技術を学び、会計の観点からビジネスの諸活動を理解し、
 企業の業績を正しく評価できる能力を身につけたい者。

(情報処理科)
○ さまざまな場面でITが使われ進化している社会において、
 基礎的な情報技術(プログラミング、ネットワーク等)を学ぶとともに、
 さらに新しい情報技術を使いこなす意欲のある者。

〜引用終わり〜



「リーダーシップ」「柔軟な思考力」「積極的な」「根気強く」
「コミュニケーション能力」「正しく評価できる」「使いこなす意欲」…



これが?期入試(推薦入試)を受ける人に求められる能力です。
どうでしょうか?成績(評定)さえよければ合格するでしょうか?



しかも、募集定員が少ない!
郡山高校の普通科は「240名の15%程度」つまり、36人程度です!
では、それをどのようにして選抜するのか?それは各高校ごとに違いますが基本的には
「自己PR」「面接」「小論文」でしょう。



成績がほぼ「オール5」の生徒が、うまくアピールできずに不合格になるケースもたくさん見ています。今の時代に求められているものは、数字(成績)だけではありません。



話が推薦入試の方へそれました。少し話を戻します。
では、受験や就職も含め、子ども達のよりよい未来へつなげていくために
小学校の段階ですべきことはなんなのでしょうか?



それは、もちろん


「自分はどこをどのように伸ばすかをひたすら考えていくこと」だと思います。


子ども達に、2学期末に成績表を渡した時に話をしました。


「先生は『できていない』ものは『できていない』と成績をつけたよ。でもそれは『できないからお前はだめだ』ってわけではないよ。『ここができないから、3学期はどうするか一緒に考えていこう』ってこと。成績表はゴールじゃない。それでまた学び直せばいいでしょ?だからそんなに成績にこだわる必要はない。でも、ただ『できた』『できなかった』で終わるのはダメ。次にどうするか考えない人は絶対に伸びないよ。」


そんなことを話して、振り返りを書きました。それが成績表に挟まっていたものです。



成績を甘くつければ確かに不安をやわらげることができるかもしれません。
しかし、それは「子ども達の未来をつぶす」ことになります。
だから、子ども達には「これができたらA」としっかりと評価基準をオープンにしています。
そうすることでブレが少なくなりますので。



しかし、「できない」と言われると不安になるのは当たり前です。私だってそうです。
だからこそ、もし不安になった時は対話をさせてください。
お電話でもお手紙でも授業参観でもなんでもけっこうです。
不安をやわらげるのも私の役目だと常に考えております。



私が中学校へ勤めていた時、こんなことをよく耳にしていました。
「小学校では成績が良かったんだけど、中学校へあがったらうまくいかなくて・・・。」
しかし、小学校での時間は戻ってきません。修正していくのはかなり厳しいです。
(悲しいことに、それを修正できず、学習から離れていく子もたくさん見てきました…。)



そんな経験があるからこそ、子ども達には
「どんな状況であっても自ら学ぶ力」を身につけてほしいのです。
年齢が上がるにつれて、子ども達には、自ら考えて学ぶ能力が求められます。
この能力はすぐ身につくものではありません。
友達と関わり続ける中で、長い長い時間をかけて、創りあげられるものだと思います。



…とまあいろいろ書きました。勢いで書いたので伝わるとよいのですが…。
足りないところは対話を通して補足させてください。
私も不完全な人間です。何かありましたらぜひお話をお聞かせください。
今後ともよろしくお願いいたします。